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【おとどけアート×森迫暁夫 美しが丘緑小学校】おとどけアートと森迫さんの活動についてのまとめ その2
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さて、やっと森迫さんの活動について。

10月から12月の中旬まで、毎週のように美しが丘緑小学校にやって来た森迫さん。
アトリエを子ども達が自由に遊べるようにしたり、様々なワークショップ体験も行ったり、
授業にもお邪魔したりと色々なことに挑戦した。


自己紹介として実際に持ち込まれた作品は数十点にも及び
「家で眠っているよりは触ってもらったほうがいい!最悪、壊れても・・・」とう決意で日々子ども達と向き合っていた。
(実際に数点の作品が壊れてしまったが、「子どもが怪我しなくて良かったねー」と笑顔だった。その度量に感謝!)

この三か月間に関しては、
どんな美術館やギャラリーよりも森迫暁夫の作品に文字通り「触れる」ことのできる空間が存在していた。
そして何よりそれらの作品を生み出した本人である森迫さんと、
直接話したり遊んだりすることができたということが重要だ。


公募の際のアンケートに「当活動に期待すること」という欄がある。
そこには必ずといっていいほど、「本物のアーティストに出会える機会を作りたい」といった旨の内容が書かれている。

確かに日常生活においてアート作品というモノを目にする機会はあるけれど、
それを制作している生身の人間であるアーティストに出会える機会は滅多にない。
だからこそ、今の時代において「出会いの場を創出する」という意義は大きい。

そしてその出会いについて
「・・・交流を通じて新たな価値観や多様な人生観に触れることで、創造力が刺激され世界を広げるきっかけとなりえる」
というようなことをよく書くのだけれど、それは決して子ども達への一方向の作用ではない。
実は子ども達以上にアーティストもたくさんの刺激を受けているのだ。


アーティストが芸術という文化を背負っているのと同様に、小学校もまた教育機関という異なる文化を持っている。
大人になってから実際の教育現場に通える機会などほとんどなく、これは非常に貴重な体験となるのだ。

そして何より子ども達との交流である。
彼らと話しをすると、
今流行っているものとか好きなもの、親や兄弟の話、時には愚痴や悩み事といった、どうでもいいような話を聞くことになる。

しかし、その言葉のひとつひとつにしっかりと耳を傾けていると、
そこには瑞々しくも生々しい「子ども達の今」が表れているのに気付く。

彼らはまだ未熟だからこそ柔軟で、親や友達、先生といった人との関わり合いや
家や学校などの生活環境に大きく影響を受ける。
彼らから発せられる言動や振る舞いこそ、現代社会を色濃く映しだしたものなのだ。


そうやって日常の些細な交流の中で共有された情報は、ゆっくりではあるが互いの世界を変えていく。
それはまるでグローバル化や多様性を受け入れながら変容してゆく社会のようであり、
新たな科目や教育法を取り入れながら既存の制度を更新していく小学校の様でもある。

そして何より森迫さんのアトリエこそが、その変化を可視化したような場所だった。


無地のクラフト紙や段ボールで囲まれた床や壁面に、子ども達が思い思いに絵を描いてゆく。
アーティストの作品をまねて自分オリジナルのアート作品を飾る子、人の絵の上に落書きする子、
森迫さんが作った段ボール製のキノコをひとつ残らず踏みつぶす子。

日々やって来る子供たちの手によってこの空間は変化し、
そしてその変化に応えるように森迫さんもまたこのスペースに作品を持ち込んだり、手を加えて行った。

時には子どもが夢中になり過ぎて、それが創作ではなく破壊のように見えることもあったけれど、
できる限り子どもたちひとりひとりの活動を許容していた。

ある意味このアトリエの責任者として、怪我や事故が起きないようなルールや約束事を決めることはできる。
危険性という負の可能性に対して「〇〇禁止!!」と子ども達の活動に制限を設けることも可能だったが、
なるべくそれをしなかった。
それは森迫さんの子ども達との一貫した関わり方であった。

これは放置ではなく見守る、ということだと思った。

昭和から令和にかけて、まだ荒削りだった社会は制度やルールの整備によってによって洗練され丁寧になった。
それによって、良くも悪くも昔できなかったことが今はできるようになって、昔できたことが今はできなくなっている。

この状況に善悪の判断を下すのではなく、そういった変化に対してどう向き合うかが重要なのだ。
中にいる人たちを無視してルールや制度が先行すると、容易にその場は柔軟性を失う。
潤いを失った場所には魅力はない。

日々の変化を受け入れながら、それに合わせて場の在り方を更新していくのはとにかく労力がいるし大変だ。
だけど、そこにこそ創造的な活動につながるチャンスが転がっているのだと思う。

子どもたちの手によって変化した(荒れ果てた)アトリエを掃除しながら、そんなことを思った。


この場と時間を提供してくれた美しが丘緑小学校のみなさんと、
付き合ってくれた子ども達、支えてくれた先生達、そして最後まで頑張ったアーティストに感謝。


最後に。
おとどけアートは札幌市内の小学校を対象として既に30校以上で実施されたきた。
そしてこの活動を通じて1万人以上の子ども達と出会ってきた。

当事業に関わって以来、学校を移動する度に声を掛けてくれる先生もいる。
2度目のチャレンジがしたいと参加表明をしてくれるアーティストもいる。

関わり合いを持ったひとりひとりのあの瞬間、あの時が、しっかりと積み重なっているのだ。

そして、これからも新たな出会いによっこの事業は変化していく。
コーディネータという立場として、これからも「おとどけアート」の今を書き残していきたいと思う。

コーディネーター/小林亮太郎

by sair_ais_programs | 2020-03-14 14:50 | おとどけ/美しが丘緑/森迫暁夫 | Comments(0)
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小学校にアーティストが滞在し子ども達と交流する事業
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