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【おとどけアート×森迫暁夫 美しが丘緑小学校】ひとりひとりと向き合う


【おとどけアート×森迫暁夫 美しが丘緑小学校】ひとりひとりと向き合う_a0062127_16125607.jpg


ひとりひとりと向き合う

小学校での休み時間、ひとりひとりと向い合って話をしている森迫さん。
その光景が印象に残った。
子ども達の目線と同じになるように、膝をついて会話を行う。


彼らは燃える火の玉のように元気で、周りの状況など関係なしで、
どんどんと思いのまま森迫さんに向かっていく。

そして、すぐに何人もの子供たちに囲まれる森迫さん。
聖徳太子ではないので、一度にたくさんの声に返事することはできないけれど、
できる限りその声に向き合う姿勢。

これは大事だなと思った。


コーディネーターとしてもう、30校以上も色んな学校に通っていると、
ある意味、小学校の先生よりも多くの子ども達に出会ったり、様々な学校を経験することになる。

その経験がたくさん増えればより、俯瞰して札幌市の小学校や
子ども達の状況を把握することができる一方。


細かいひとつひとつのエピソードや、個人個人に目を向けるという
本来、交流において根本的な姿勢がなおざりになることがある。



やって来た子ども達をうまいこと「いなす」ことができるようになるコーディネーター。
対象的に、一度にやって来る子ども達にアタフタするアーティスト。


その場の鎮静化・処理としてはコーディネーターのこの技術は有難がられるけれど、
そもそも、アーティストが先生ではなくて、子ども達にとって友達という、
彼らの生活に寄り添う存在として居るのならば、その評価は逆転する。


「交流」という意味は何なのか、もう一度見直してみる。


これは、一方的な情報発信ではないということだ。
相互作用を担保した関係性、これがおとどけアートで指すところの「交流」なのだ。


授業やセミナーなどの場合、
「話を聞きたい人」と「教える人」との関係性によって成り立っているため、
まずは「教える人」からの一方的な情報提供がなされる。
一通り情報が共有されてから、相互性の担保として質疑応答がなされることが多い。

制限された時間の中で、必要最低限の事を、不特定多数に教える、
効率を考えた場合には、この様な半ば強制的な状況設定が必要なのである。


でも、このおとどけアートは授業ではない。
休み時間に行われる子ども達の自由な遊びの中にある、ひとつなのだ。

ひとりのアーティストという人間が、小学校の中でひとりひとりと言葉を交わし、
話し合い、理解したりしなかったり、そんなこと繰り返しながら「仲」を縮め、深めてゆく。
友達100人できるかな、というお馴染みの名曲を地で行く活動なのだ。

子どもと大人という立場、小学校という場所から、
どうしてもそんな風になってしまう関係性だけれど、そうではないのだ。



関係性が友達という相互関係の上で成り立っているから、
子ども達の「???」という話にも耳を傾けるし、
アーティストだってそこは全力で伝えたいことを発信できる。
そこは同等なのだ。
分からない事であったとしても、その場で理解するための会話が成立するのだ。


ここでいうコミュニケーションは、
その場の空気を読みながら、差しさわりのない振る舞いを演じる、という外見的なものではない。
「私はこう思っています」を時に勇気を出してさらけ出す、偽りのない心の会話だ。
そういった「私」をさらけ出す行為を、表現と言うのかもしれない。


自分の意見は運よく理解を得られることもあるけれど、分かってもらえないこともある。
時には「意味が分からない」と一蹴されたり、「何言ってんだよ!」とぶつかることもあるだろう。
でも、それこそが必要な経験なのだ。

そうして、アーティストは子ども達にとって「親」「先生」に次ぐ新たな「大人」の存在になる。
人は経験・体験した事を糧にして、自分を形成してゆく。
だから、人に出会ったりそこで話をしたり、そういったありふれた日常がとても大事なのだ。


森迫さんがひとりひとり向き合って、交流した3ヶ月間。
子ども達はその中で何を得たのか。

遠い未来で記憶に残るのは、森迫さんの「作品」かもしれない。
でも、友達として「森迫さん」を思い出すかもしれない。


「あれっ、なんであの人小学校にいたんだろう?」
「何か入り浸って、遊んだな・・・」「今も生きてるのかな?」


人と人がつながる、もしくはつながった、という縁は生きている間はずっと有効なのだ。
作品に話しかけても返事は返ってこない(場合が多い)
でも、「森迫さん」に再び出会ったとしたら、ひと声かければいい「美しが丘緑で会いましたよね」と。

積み重ねた過去や今やこれからについて、あの日の思い出と共にいくらでも話ができる。
アーティストがおとどけアートの中でできるのは、何かを大きく変えることではない。
でも、何かを少しだけ変える力は、確実にある。

それこそが、この活動の意味になるんだと思う。


コーディネーター小林




by sair_ais_programs | 2020-03-15 15:05 | おとどけ/美しが丘緑/森迫暁夫 | Comments(0)
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小学校にアーティストが滞在し子ども達と交流する事業
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