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【おとどけアート 松田朕佳×もみじの丘小学校】 「うちゅう人の前ならえ」ができた経緯と言い訳
もみじの丘小学校でのおとどけアートで制作した作品について、作者の松田さんから解説文が届きました。
作品を見て感じる印象は人によって様々ですが、作者の意図や考えについて知っていただくこともとても重要だと考え、全文掲載いたします。
これまでのブログと合わせてぜひご覧ください!


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「うちゅう人の前ならえ」ができた経緯と言い訳

松田 朕佳

前ならえ
 “前ならえ”をしているのを久しぶりに見て、いろいろ疑問が生まれてきました。どうして背の順に並ぶのだろう。背の高い子が前にいると背の低い子の視界の妨げになるからでしょうか?背の低い子から高い子までを順番に並べると全員が前を見ることができるのでしょうか?実際のところ目の高さから頭の天辺までは5センチ以上あり一人一人の身長差は5センチ未満なので結局先頭の子以外誰も一番前を見ることはできないのです。伝達ゲームの原理と同様、自分の目の前の人まで全員が正しくそれぞれの一つ前の人を真似できていれば一番前を見ることができなくても、一番前の人の真似ができていることになります。これは鳩の集団の危機管理体制と似ているかもしれません。猫などが近づいてきた場合、最初に猫に気づいた鳩が飛び立ちます。一羽が飛び立つのに気づいてその周りの鳩も飛び立ちます。猫から遠い鳩は猫の存在を確認するまで待たずに飛び立つことができます。“前ならえ”は集団生活の中で自分の周囲で何が起きているか観察力と空気を読む力を高めるための練習なのだということがわかりました。これなら敵が近づいてきても誰かが逃げればみんな無事ですね。

ならえ
 “ならえ”は漢字で書くと「習え」「慣らえ」「倣え」になります。「習え」は教えてもらったり繰り返し練習して身につけるという意味。「慣らえ」は慣れるまで繰り返す。「倣え」は真似をするという意味があります。「前ならえ」つまり前の人の真似をして学べということのようです。「前の人」というのは自分の目の前に立っている同じクラスの生徒ですが一番前の生徒は先生の指示を受けています。先生というのは常に全員の前に立っているので、先生の真似をすればいいということになるでしょう。もし自分の目の前の子が先生の真似ができていなかったら自分はどちらの真似をするのが良いのでしょうか?先生でしょうか?目の前で間違えて真似をしている子でしょうか?鳩の場合は目の前の子です。距離の離れた先生の真似をしていても猫が後ろから来ていたとしたら自分の近い周囲に気を配るほうが危機回避できる可能性が高まります。人間の場合もそうかもしれません。先生の真似が少し下手でも近くの子の真似を上手にできていた方が下手な子同士で友達になれます。先生の真似が上手にできる子は先生と友達になればいいです。 前の子が間違えていることを知らずに自分がその子の真似をしている場合や、自分が間違えていて後ろの子たちが間違えてしまう場合もあると思います。多くの場合、誰も間違いには気づきません。もし気づいたとしても、システムの問題なので間違えてしまったからといってがっかりする必要はありません。一定の不良を生み出すことを想定されたシステムですから。

背の順
 背の順に関してもう一つ重要なのは地球の重力です。背の順に並ばせることが可能であるということは、全員が平等に地球の重力を受けていて、私たちが地面から浮き上がることができない環境にいることを教えてくれています。私たちが把握している環境は私たち自身の身体に由来しています。そして時間。人は背が伸びて“小さい人”から“大きい人”に変化していきます。短人、長人となってもいいところですが、幅も変わるからなのでしょうか。ところで、小人から大人へと成長してもサイズの変わらない体のパーツがあるそうです。それは、眼球です。理科の先生が教えてくださいました。小人の顔が可愛いのは顔面に対して目が大きいからのようです。では、尺度を重力ではなく、小人も大人も同じサイズだという目玉に合わせたらどうなるでしょうか。

目線を揃える
 背の順という尺度を外すし、目玉に基準を合わせてみます。まず段ボールで模った人型の目をくり抜きます。二本の棒を目の穴に通し複数人の人型を串刺しにして目の高さが揃っていることを表現します。すると足が地面に着いていない子や、足がぐにゃっと床に余ってしまっている子もいます。地球人にはあり得ないことです。このグループの子たちは異環境ルールに位置付けされる者という意味で、異星人、あるいは宇宙人ということになります。 うちゅう人 宇宙人、異星人という言葉はエイリアン(Alien)という言い方もあります。外の、地球外の、異星の、ということになります。また、エイリアネイション(Alienation)というのは疎外感という意味です。地球の外のルールで生きているエイリアンが地球にくるといつもとルールが違うので居心地が悪く、疎外感を感じます。

緑色
 うちゅう人たちは段ボールの茶色のままではかわいそうなので色を塗ってあげることにしました。何色にしましょうか。地球人の中には黄色人種、白人、黒人と色で人種のことを分ける場合があります。他にも赤ら顔や青白い顔など状態によって皮膚の色は変化します。その中に含まれない色を使うことで、地球人ではないことを強調するために緑色に塗ることにしました。

 ここまできてキーワードが出揃ってきました。「うちゅう人の前ならえ」「ちきゅう人の前ならえ」どちらも理にかなっているような、どこかトンチンカンな不思議な活動でした。でもみんな楽しそうにやっていました。

「コピー3年1組」
3年1組には授業中、時おり隣の教室で過ごしている子がいます。すると担任の先生は「3年1組に戻りなさい」と言います。そこで隣の教室も3年1組にしたら、どうなるでしょうか。その子はどちらの教室にいても3年1組にいることになります。「3年1組に戻りなさい」と言われることはなくなるでしょう。3年1組の生徒は39人ですが、その子は両方の部屋を行ったり来たりするので「コピー3年1組」にも、その子以外の38人の宇宙人生徒を机に着席させました。教室の後ろの壁に貼ってあるそれぞれの「めあて」も(それをみんなが書いていた時間お休みしていた子以外)全員分と廊下に飾ってあった習字の「木」という文字を真似して作りました。真似してみることでわかったことがありました。私自身の手先がいかに器用になってしまっているか。一方、練習している真っ最中の3年生は“とめ”“はね”を意識し過ぎてぎこちなくなっています。一本の線すらまっすぐに引くことがままなりません。私がもう一度、3年生(8歳)の子の書き方を覚えるのは大変でした。8歳という歳に私は28歳も離れているわけですから。3年生にとって8年かけて学んできたことは私には28年かかるということ。ロマンチックな言い方をすると、星空のようなものなのです。星空の話をすると大抵「ロマンチックですね」となります。なぜかは知りません。何億光年も前に発した星々の光が今晩の空に並んでいます。ある星は何億8光年で、もう一つの星は何億36光年だとします。その二つの星を同時に夜空に観測する事ができる日もあるでしょう。そのようにして私たちの目の前には歳の違う人間(小人や大人)が存在しているのだから、私たちの日常の方が星空なんかよりもよっぽどロマンチックですよね。そういった星空のような場所で、8歳という年齢に0歳から今まさに到達している3年生と、36歳から8歳をめがけて28年の差を乗り越えなければならない私。フェアじゃないです。でも頑張ってそれなりに見えるように書きました。筆圧や息遣いの違うそれぞれの個性が「木」という文字に見る事ができます。綺麗に並べて壁に貼ってみると植林された山のような風景が出来上がりました。

以上は私たち(松田、漆、花田)が一時的に棲活していた小学校にて「前ならえ」という教育の象徴的スローガンに法り、私たちが来る“前”からあったものをお手本にした結果と言えるでしょう。




by sair_ais_programs | 2020-01-06 16:59 | おとどけ/もみじの丘小/松田朕佳 | Comments(0)
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