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【おとどけアート 札幌市立本町小学校×中島佑太】最終日後編:ひとしずくの繋がりが生んだ波紋を残して
札幌市立本町小学校でのおとどけアートまとめの後編。

中島さんが今回最終的にフォーカスしていったこと。
本活動ブログではお馴染みのNさんの存在です。
しかもその入り口は給食でした。

さて、本活動を締めくくる最後のブログは、Nさんと中島さんとの関わりについて、学校での活動から少し逸脱した、裏の活動ともいうべき中島さんの行動についてレポートして見たいと思います。

本事業では、交流活動の一環としてアーティストには、給食を子どもたちと一緒に食べてもらうことにしています。
給食を共にすることで関係性が深まり、アーティストに対する親近感を持ってもらえたらと願ってのこと。
ただ、これまでのアーテイストが給食そのものに注目したことはあまりありませんでした。

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中島さんは、今回の活動が始まってすぐ、他の子どもたちとは違うメニューの給食を食べている子どもがいることに気がつきました。
宗教上の理由で食べることのできないメニューがあるとのこと。
Nさんもその一人でした。

*Nさんのとある日の給食。ミートソーススパゲティの代わりにトマトソースのパスタを持参。
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ほう!ならば普段お家ではどんな料理をたべているんだろう。
中島さんの興味は、給食から家庭料理に及んでいきました。
芸術家志望であるNさんとの距離は、そこから一気に縮まっていったわけです。

偶然にもNさんのお母さんともお会いすることができ、話は急展開!
なんと週末にはNさんが通う「モスク(イスラム教徒が集まる集会所)」にお邪魔することに!
え?お家じゃなくてモスクですか?
まさか、こんな展開が待っていたとは、、、
当の中島さんは、思いもよらぬ方向に自分たちの活動が向かっていくことに戸惑いながらも流れに身をまかせます。

モスクでは、他の子どもたちとも一緒に絵を描いたり、バングラディシュやインドネシア料理をいただいたり、さらには彼女たちが信仰するイスラム教について学ぶ機会を得ました。

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料理もさることながら最も印象深かったのは、やはりイスラム教の教え。
例えば崇拝とは、1日に5回のお祈りだけではなく、人に対して優しくすること、正しい行いをすることそのものが崇拝であるという考え方があること。聖職者という人は存在せず、コーランに書かれている教えに詳しい人が先生として他の教えているのであって、神の存在以外のものを崇めるということはないということ。私たちの質問に対しても本当に丁寧にお答えいただきました。

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そして最も興味深かったことが、経典であるコーランとその解釈について。
ムスリムの皆さん曰く、完璧な翻訳というものが存在しないということ。もちろん翻訳されたコーランが間違いだということではありません。翻訳とは、他の言語で訳されたひとつの解釈であって、それがそのままコーランの解釈ということになってしまうと本来持っているコーランの多様性が失われると考えているのです。だからみなさん熱心に勉強されています。
その考え方から、多様性とは、様々な解釈・考え方・価値の存在を認めるという一方で、自分自身の中でその解釈を深め模索していくことだと私は理解しました。
「モスク」での経験は、いろんな意味で密度の濃い時間となりました!


そうした経験を通して彼女の日常に触れるだけでは飽き足らず、Nさんと表現することの意味や芸術に対する考え方を更に共有するために、一週間後の週末に彼女を誘ってアートの原点ともいうべき洞窟壁画を見にいくことを考えました。
目的地は、余市町にある「フゴッペ洞窟」。

時間を早送りしていざ出発!!!
このツアーでは、そもそも興味の出発点でもあった家庭料理をNさんのご家族がお弁当としてご用意いただきました。
まずは洞窟に着く前に小樽市博物館の見学と腹ごしらえ。
もうこれだけでも十分な貴重な体験!

*画像は、特製のココナッツライス。
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そして、いよいよ「フゴッペ洞窟」へ。
なんとなく手持ちぶたさだったのか、急遽文房具を購入し、ツアーの旗を制作するご一行。
ちょっとしたワークショップを織り交ぜていくのが中島流。
意気揚々と洞窟の中へ!

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洞窟内に刻まれた様々な模様をみて、
「あれは一体何に見える?」「どういう意味があるんだろう?」
と、対話しながら観察していきます。
*フゴッペ洞窟内部は撮影禁止のためこちらのイラストでご容赦ください。

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そして、ひとしきり見終えてからまたお絵描きタイム。
さっそく見てきた模様をモチーフに描いていきます。
古代の人たちの絵画に魅せられて、絵を描く意欲がさらに高まったのでしょうか?

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帰りの車の中、中島さんが洞窟壁画を見せたかった意図が伝わったのか定かではありませんでしたが、車中から見える山の景色を眺めながらNさんがこんなことを呟きました。
「あの山の中にも洞窟壁画があるかもしれないね?」

もし別な洞窟壁画あったらどんな壁画だろうか。
そこにはどんな人たちの生活や思いが宿っているのだろうか。
もしあるならまた一緒に行きたいな、という願いも含めて、Nさんの想像が膨らんでいることを垣間見る瞬間でした。

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さて、そうした経緯を経て活動は最終日。
Nさんは、いつしか中島さんと一緒に絵を描くことから、友達に中島さんの活動を啓蒙するスタンスへと変わっていました。
休み時間に友達を連れてきて、中島さんのホームページに記録されているこれまでの活動を見せて欲しいと。

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その影響は彼女のクラスに波及し、担任の先生から授業の中で、何かやってもらえないかと要望される事態に。
Nさんがお気に入りのプログラムを一つチョイスして、その体験をすることになりました。

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「雲をつかむ」と題されたこのワークショップは、カメラを使い、シャタースピードを遅くすることによって動いている部分だけがぼやけて映るという仕組みを使った不思議な情景を撮影するというもの。それぞれが独自に動作を考えて、なんども試しながらユニークな映像を生み出して行きます。後半は大人数でワイワイと。
中島さんは本来このワークショップを場所に宿る歴史的な時間や、動作そのもににテーマや意味をもたせて表現化していくものなのですが、今回はあくまでもお試し版ということで、現象そのものを楽しむということに割り切って実施してくれました。
とはいえ、ここまでくると最後まで封印してきた中島さんも自身の引き出しを開けることに躊躇はなく、むしろご満悦。
子ども達や先生にも、中島さんの多面的なアーティストのひとつの姿を実感してもらえたのではないでしょうか。

さて、最終日もいよいよ放課後。
実はNさんのお家が団地だとうことを知った我々は、団地リサーチの一環を兼ねて初めて子ども達の下校に立ち会うことに。
Nさんはもちろん、前編で紹介した常連さんの子ども達と一緒に学校をあとにします。


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以前お伝えした通り本町小学校の周辺には、いくつかの団地があって、最終日も御多分に洩れず団地フェチの中島さんからレクチャーを受ける一同。団地の中にある緑地や公園を巡りながら、感傷的なお別れムードも特になく、団地界隈から子ども達を見送ります。みんな二週間ありがとう!!!

そして、なぜかNさん邸へお邪魔することに。
本当の目的はこれだったのではないか?という疑いはさておき、Nさんとの交流を何よりも優先してきた中島さんにとって、団地で、しかもNさんのお宅ということもあってテンションはMax。
お家の中で、普段の生活のことなどたくさんお話しを聞くことができました。
Nさん、そしてご家族の皆さん本当にありがとうございました!!!
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Nさんは、中島さんとのお別れを特に寂しそうにはしていませんでした。
どうしてか尋ねたら、
「連絡先は聞いたし、また会えるから。」
と答えてくれました。

近くにいても関わり合わない遠い存在の人がいます。
逆に遠くにいるけども自分と近い存在として認識し関わり合える人がいます。
別れ際の彼女の態度と中島さんとの関係性は、物理的な距離を超え、「給食」から始まり「アートを共に考え共有すること」で構築された「つながり」という新たな関係性を感じる瞬間でした。

アーティスト・イン・スクールの中で、今回ほど特定の個人とアーティストが関わっていくことはあまりありません。
かと言って、この種の事業の中でアーティストが与える影響も全ての人に同等とはいきません。
数週間という短い交流の中でアーティストにできることは限られています。
学校、先生、児童、保護者、大人、子ども、学年、クラスという既存の枠組みに対峙してしまいがちな状況の中で、今回の活動では、本来的な人と人との繋がりが、そもそも一対一の関係でしか始まらない、成立し得ないという当たり前のことを再考する。
たとえ短い期間であったとしても、制度や仕組みにとらわれがちな学校だからこそ、そこを大切にすべきではないかと。
むしろ一点に集中することで、結果的に大きな波紋となって影響していくことを期待することがあってもいいのではないかと。
アーティストが学校に関わることの意義を今一度問いなおす機会だったように感じています。

中島さんが滞在を終えた段階で活動はひとまず区切りとなりましたが、今後どのように影響していくのか、終わりのない活動が始まったような思いを抱えながら引き続き見守っていきたいと思います。




コーディネーター:漆








by sair_ais_programs | 2018-12-26 13:45 | おとどけ/本町小/中島佑太 | Comments(0)
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小学校にアーティストが滞在し子ども達と交流する事業
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