12月15日 活動8日目 ---------------------------------------------------------------------- ファッションショー当日。 音響機材をセッティングする。 西澤さんがYMOのライディーンをBGMにながしてくれる。 この日は朝から、札幌市立大学4年生の寺岡桃さんが手伝いに来てくれる。 せっかくなのでファッションショーの司会をしてもらう。 ファッションショーがはじまる時間になるがなかなかはじまらない。 そもそも中休みは20分しかないのでもたもたしていたら終わってしまうのだが、 どうやらモデルリーダーのたみこさんと、メンズモデルのしょういちくん以外集まらなかったようだ。 これではファッションショーがなりたたないのでできないと騒ぎ出すが、 お客さんはもうすでにたくさん集まり、ショーの始まりを待っている。 なかなかはじまらず混乱がおきそうだったので、前座でだいごろうくんに首倒立をしてもらうことにする。 そんなとき、ファッションリーダーのいちこさんがやってくる。 リコーダー宿題があるから、ファッションショーにはでれなくなったとさらりといってのける。 しかし見学はすることはできるとやってきた。 見学できるのなら舞台にたてると思うのだが、なぜか立たない。 もうひとりのモデルのもみじさんもやってこない。 あれだけ準備してきたのに、結局本気でファッションショーをやりたかったのはたみこさんだけだったのかもしれない。 埒があかないので、急遽僕も出演しつつ、モデルをその場で募集することにする。 3年生のひょうきんな男の子と、 バスケチームで場を荒らすだけだとおもっていた6年生チームが参加してくれる。 ありがたい。 行って帰ってくるだけだと一瞬で終わるので、一人衣装と仮面を変えて、なんどかウォーキングをすることにする。 なんとかファッションショーは盛況で終わることができる。 ※ファッションショーの様子はビデオで撮影し映像で見られるようにしました。 昼は明日のダンスパーティーの準備ということで、みんなにも仮面をつくってもらうことにする。 仮面の役割としては学校が子どもたちの顔がわかる写真撮影が禁止なので 仮面をつけてわからなくするというためだけにつくっていたのだ。 しかし、このとくいの銀行迷路初、 この場所で全員が同じ活動をするという状況が最終日前日ではじめておこる。 同じことをみんなでやるだけの活動がいかに楽かを感じる。 深澤孝史「とくいの銀行西岡支店営業日誌 8日目・12月15日」より ---------------------------------------------------------------------- 一部の子ども達の想いで始まった、ファッションショー。 予想以上に人が集まります。 予想と違ったのか、想定していなかったのか、 ファッションショー参加の子が1人急に出演を辞退します。 別の用件で出れないと言っていましたが、 実際にはファッションショーを最後まで見ていたので、 出たくなかったのでしょう。 彼女は今まで一緒に場所を作ってきたけれど、 それはあくまで自分の為の私的な場所で、公的な意味合いを持ってはいませんでした。 しかし、ファッションショーという企画を通じて 彼女たちが作ってきた場が公的な場、公共の場へと変容します。 そのとき初めて「見られている」ということに気付き、 自分以外の他人の視線を意識するのです。 その時に、自分たちがやりたかったことがハッキリします。 その活動が プライベート(私的空間)なものなのか、パブリック(公的空間)なものなのか。 小学校の授業ででよく見かける光景があります。 特に低学年のクラスで、先生から質問がありみんな元気に手を上げるのですが、 あてられた途端、「・・・・忘れました・・」とい子がいます。 最初から知らないのに雰囲気で手をあげていたということも考えられますが、 その時には3連続でその状況が生まれていました。 これは何なのかな?と考えていた時に、ひとつ見つけた答えがあります。 それは、先ほどのプライベートとパブリックです。 特に10才ぐらいまでの子ども達は、とにかく自分の世界だけで生きています。 自分の興味に素直で、すぐに動けます。 ところが、10才を越え4・5・6年生にもなると、 一つ一つの判断要素に、周りの人たち、雰囲気、が関わってきます。 外の世界を見られるようになってくるのです。 先ほどの授業に戻ると、 先生が質問をするとき、ひとりひとりの子ども達は先生と私との1対1の関係性です。 しかし、手をあてられて発言をするとき、 その子は先生以外の多くの子ども達に囲まれていることを意識します。 個と個の関係性(プライベート)からいきなり個と複数の関係性(パブリック)に変化します。 その瞬間、「あれっ、、みんなが見てる、あれ・・何言うんだったっけ?」 と、本当に今まで自分の用意していた言葉を忘れてしまうのかもしれません。 我々大人だって、ひとりごとはいくらでも自由に言えるけれど、 他人を意識した時に言葉が詰まったり頭が真っ白になったりします。 同じようなことが、子ども達の中でも起きているのかもしれません。 長くなりましたが、 ファッションショー裏側で起きた一つの事柄から、 色々なことが見えてきました。 次回、最終回です。 つづく
by sair_ais_programs
| 2017-01-01 13:49
| おとどけ/西岡/深澤孝史
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小学校にアーティストが滞在し子ども達と交流する事業
by sair_ais_programs
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