12月14日 活動7日目
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ファッションショー前日でリハーサルをしたほうがいいのではと提案するが、
つくった服がなくなったり、まだ完成していなかったりと全然進まない。
6年生のチームがまた増え、なかなかダイナミックにバスケのコーナーで遊びはじめ、迷路が崩壊しかける。
これは危険かもしれないと思い、もともと危険だった野球コーナーにバスケのゴールを設置して、
危険な球遊びのコーナーをひとまとめにしてみる。
そのかわりバスケのコーナーをダンスに変える。
場があれてきたので、昼はついに仕事をしない人は入室禁止という張り紙を貼る。
ファッションショーを明日に控えているので準備をすすめなければならない。
そうするとバスケをしていた6年生グループは、
それならバスケグループに登録すればいいんでしょと名前を書いて入室する。
ファッションショーのランウェイをレッドカーペットにしてほしいとたみこさんにいわれ赤くする。
ダンスの準備とファッションショーの準備のため新たに仮面をつくりはじめる。
小林さんは3L(スリーライン)とCOOLという仮面のブランドをたちあげる。
西澤さんはサザンクロス。
僕はインフィニティというブランドをたちあげそれぞれつくっていく。
ファッションショーのポスターとダンスパーティーのちらしをつくる。
ダンスパーティーのちらしは各クラス分印刷して分配してもらう。
結局リハーサルはできなかったので、ショーに登場する順番だけ決めてもらって明日に備えることになる。
ちなみにこの日も首倒立のだいごろうくんはふらりととくいの銀行迷路に時間をつぶしにくる。
深澤孝史「とくいの銀行西岡支店営業日誌 7日目・12月14日」より
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時間と共に深澤さんの空間が、各自の居場所になってゆきます。
公共スペースにおいて重要なのは、
不特定多数の誰か全員に対して万遍なくサービスが行き届くこと、
と思いがちですがそうではありません。
本当の公共スペースはサービスとして皆に与えられる場所ではなく、
そのスペースに誰もが自分の居場所を責任を対価に獲得できるということだと思います。
世の中を見れば、公園内にある遊具が危険性という理由で、
どんどん排除されてゆきます。
ボール使いも禁止、花火も禁止。
そしてそれは、「与える」サービス公共の限界を指しています。
この深澤さんの空間においては、
各自が各自の責任において場を生み出してゆきます。
それは、誰かの為ではなくその場を作り出す子ども達自身の為です。
自分の為に行う行為には責任を持つ、それが当然です。
各自が自由勝手にやりたいことをやれば世の中おかしくなる、
それはその通り。
だから、自分の責任を果たすというのは共存する他者への配慮や
自分以外の人々に対して理解する姿勢や許容が必要なのです。
そしてそれは、その場に居合わせる人々がひとつひとつ
時間をかけて他者と関係性を構築してゆくことが必要不可欠だと思います。
しかしながら、世の中の多くが責任を取らなくてもよい仕組みづくりに必死。
常に何かが起こった時に、外部の責任になるように回避の仕組みを選びます。
不都合が生まれた時に、
誰でもなく何かの仕組みに声をあげても虚しく響き渡るだけです。
人と人がぶつからなくてもよい社会。
それは便利なように見えますが、
そこには人のコミュニケーションはないですからね。
つづく