十勝アーティスト・イン・スクール中札内小学校で遠藤一郎氏が取り組んでいる凧プロジェクト。
なぜ、遠藤氏は凧を作り続けているのか。
様々な表現活動に取り組んでいる遠藤氏が、なぜ今回のアーティスト・イン・スクールで凧あげを選択したのか。
本日のブログでは遠藤氏が取り組む凧あげの魅力について少し掘り下げてみたいと思います。
凧そのものは意外なほどシンプルで、素材はカラービニールと竹ひご、後はセロテープとストッパーの輪ゴム。
手綱となるロープは、凧の数によって変わるのだとか。
今回は、191個の凧をつなげる為、かなり強度のある手綱を用意されたようです。
という訳で、特別なものは手綱ぐらいでしょうか。
誰でも作ることができるのも凧プロジェクトの魅力のひとつです。
そうしてできあがった凧に、参加者それぞれが思い描いている夢や希望を書いていきます。
さて、ここにもうひとつの魅力があります。
「夢」とか「希望」を文字で表すという行為は、想像以上に覚悟がいるということです。
つまり、凧に書くことによって形に残るという意識が働き、口で言うよりもじっくり考え、腹をくくって筆を走らせる訳です。
こうしてできた「夢凧」は、自分の目標を再認識すること、普段聞いたことのない友人、先生、身近な人たちの夢を知るチャンスを与えてくれるのです。
「夢凧」ができると、それを一本の手綱に通して、連凧に仕上げます。
遠藤さん曰く
「僕らが作っている凧は、ひとつでは空に上がらない。いくつもの凧が連なることで空にあがっていく。みんなの夢も一人では実現することは難しい。いろいろな人と繋がることで叶うもの。」
つまり遠藤さんが作る「未来龍大空凧」は、夢を叶え、実現するプロセスを具現化したシンボルなのです。
このことを、凧作りに参加してくれる子どもたちや地域の方々に丁寧に説明していきます。
シンプルな言葉の中に、遠藤さんの純粋で誠実な生き方が垣間みれます。
最後に、空に舞い上がる「未来龍大空凧」。
みんなで作った凧が、本当に空に上がっていくのか、どんな風に舞うのか。全く予測がつかず、手を離すまでドキドキです。
そして空に舞い上がると、大興奮が待っていま。
やはり最後は思いっきり楽しむ!
凧を追いかけたり、実際いに手綱を持って操ったり。
子どもも、大人も、何ともいえない高揚感と感動を共有する瞬間です。
凧を追いかけ大空を眺める。それでも凧は、大地から手綱を通して舞っている。この自然との関係性を凧を通じて体感し、人を本来の動物的感覚へと回帰させるような不思議な時間が流れるのです。
いかがでしょうか?
たかが凧上げ、されど凧上げ。
遠藤さんが、未来芸術家として凧上げのプロジェクトを続けている理由、そして、今回のアーティスト・イン・スクールで、少しでも感じていただけると幸いです。
次回は、今回の舞台となっている中札内村の魅力に迫ります。お楽しみに!!
*写真提供:舘かほる