アーティスト・イン・スクール ~転校生はアーティスト!~
2023-05-31T10:43:46+09:00
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小学校にアーティストが滞在し子ども達と交流する事業
Excite Blog
2022年度アーティスト・イン・スクール おとどけアート
http://inschool.exblog.jp/241648835/
2022-11-09T16:53:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2022-11-09T16:53:12+09:00
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2022年度AIS
☆2022年度以降の活動詳細は以下のHPでご覧ください☆
⇒おとどけアート
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【おとどけアート】札幌市立新川小学校×小助川裕康
http://inschool.exblog.jp/241378777/
2022-01-18T12:00:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2022-03-01T16:53:32+09:00
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おとどけ/新川小/小助川裕康
札幌新川小学校 × 小助川裕康 の活動は以下をご覧ください。おとどけアート ⇒ 公式ブログ
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おとどけアート×発寒東小学校×久野志乃
http://inschool.exblog.jp/241262216/
2021-11-04T22:28:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-11-04T22:28:58+09:00
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おとどけ/発寒東/久野志乃
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おとどけアート×手稲西小学校×千葉麻十佳
http://inschool.exblog.jp/241234200/
2021-10-10T12:41:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-10-10T12:41:41+09:00
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おとどけ/手稲西/千葉麻十佳
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おとどけアート×北都小学校×フジ森
http://inschool.exblog.jp/241234194/
2021-10-10T12:38:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-10-10T12:38:26+09:00
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おとどけ/北都/フジ森
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2021年度 おとどけアート事業のお知らせ
http://inschool.exblog.jp/241183636/
2021-09-02T18:23:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-09-02T18:23:43+09:00
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2021年度AIS
【おとどけアート事業①】開催校:札幌市立手稲西小学校開催時期:2020年8月〜12月参加アーティスト:千葉麻十佳/Madoka Chiba(美術作家)1982年札幌市出身。2003年に東京芸術大学美術学部に入学し、2007年に同大学を卒業、同年同大学大学院彫刻専攻に入学し、2009年に修了する。同年ドイツ学術交流会(DAAD)の奨学金を得てベルリン芸術大学に交換留学生として入学、卒業はせず翌年に美術作家として活動を開始する。主な展覧会に2018年「ウェザーリポート」(栃木県立美術館)、2019年「光が射す」(ギャラリーオフグリッド)など。近年は多くのアーティストインレジデンスに参加し、滞在地にある石や砂を溶かして土地の過去と現在を結びつける作品を発表している。chiba-madoka.net
【おとどけアート事業②】開催校:札幌市立北都小学校開催時期:2020年8月〜10月参加アーティスト:
フジ森/Fujimori(アーティストユニット)フジ森は、藤木淳と藤木寛子の夫妻によるインタラクティブ・アート・ユニット。構想はそれぞれで持ち寄り、藤木寛子が構成とビジュアル、藤木淳がロジカル設計を担当し、鑑賞者参加型のアート作品を展開している。藤木淳は独自のアルゴリズムに基づくインタラクティブ作品を制作。藤木寛子(清水)は実物のシルエットとモノクロのアニメーションを融合させたインスタレーション作品等を制作。2014年より合作を始め、2019年よりユニット名をフジ森とした。https://www.fujimori.website
【おとどけアート事業③】開催校:札幌市立発寒東小学校開催時期:2020年11月〜12月参加アーティスト:久野志乃/Shino Hisano(アーティスト)1978年北海道様似町生まれ。2003年北海道教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修(西洋画)修了。「他者の個人的な記憶」に基づく世界像を再構築し、多重の視点から生成された新しい物語やありえたかもしれない風景を油彩画で制作する。札幌を中心に、東京、台湾などで個展、グループ展を開催。最近の主な展覧会、個展「森の配置、ひかりの距離で」(ギャラリー門馬 札幌 2020)、「night bird」(Gallery Camellia 東京 2019)http://shinohisano.com 【おとどけアート事業④】開催校:札幌市立新川小学校開催時期:2021年1月〜2月参加アーティスト:
小助川裕康/Hiroyasu Kosukegawa(造園家・アーティスト)1978年、北海道札幌市に生まれる。 北海道芸術デザイン専門学校卒業後、シャープペンシルを用いた平面作品、 ペンキやスプレー缶を用いた壁画を制作する。 造園という人工自然世界と出会い、その土壌から美を発掘する。ランドスケープをキャンバスとし樹や植物の育ちや死を見つめながら其れを用い、 今在る現状を受け入れて次に繋げることが出来る人々との関係を元に時間をかけて育て風化を見守り味わう空間作品の制作に没頭している。https://hiroyasukosukegawa.jp
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【おとどけアート 札幌市立新川小学校 × 下道基行】活動を振り返って
http://inschool.exblog.jp/241013525/
2021-06-04T17:09:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-06-04T17:09:11+09:00
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おとどけ/新川小/下道基行
新型コロナウィルス感染拡大によって様々な制約や自粛を余儀なくされた2020年。おとどけアート事業においてもその影響を大きく受けたのは札幌市立新川小学校で活動であった。香川県直島に住むアーティストの下道基行氏をお迎えして実施を予定していた活動は、緊急事態宣言の発令やその後の収束を見ない状況を鑑みて、次年度へ持ち越すことを決断した。しかしながら、その決定に至る経緯の中で、試してきたことがいくつかある。遠隔にいるアーティストと学校をどのように繋いでいくか。ここでは、今までにない挑戦を迫られる機会となった、新川小学校において実施した活動について、主体的に関わっていただいた先生方のコメントを交えて振り返ってみたい。 突如現れた不思議な空間との出会い
コロナの影響が一時的に落ち着きを見せた秋口。まだ下道氏を迎える可能性を最大限模索していた私たちは、活動をどのようにスタートさせるべきか相談を重ね、アーティストの作品展示を校内の一角で実施することを決断した。下道氏本人は、当初事前のアナウンスや紹介を極力控えたいと考えていたこともあり、この決断には迷いもあったかと推測する。しかしながら、コロナ禍での取り組みとしてまだ見ぬ存在への想像を膨らませる時間が、物理的な距離を埋める可能性を見出すことに舵を切ったのだ。 会場は、3階の特別教室。展示した作品は下道氏の代表作でもある《津波石#04》《津波石#305》の二つの作品。津波によって流されて来た巨石を定点で観測・撮影した映像作品である。合わせて、下道さんの写真集や、下道さんの作品が掲載されている雑誌などの資料も設置した。「よくわからない状態からスタートしたが、作品を見て不思議な気持ちになった。学校は『与える勉強』が中心となりが ちだが、作品を見ている子ども達は、自発的にアーティストの存在を知ろうとしていた。(6年生担任)」
「何かが始まるという期待感が膨らんだ。参考資料として置かれた書籍を読書週間の推薦図書として紹介していた児童もいた。(6年生担任)」
事前の詳しい説明を省き突如現れた不可思議な空間に、子ども達も先生方も戸惑いは大きかったと推測する。一方で、その受け取り方、感じ方を個人に委ねたことにより、「どんな人なんだろう?」「どういう意図があるのだろう?」という好奇心や、自分で調べるという自発性を刺激した部分もあったようだ。
画面越しの交流
小学校で作品展示が開始され、いよいよ本格的な活動を模索し始めた11月。不幸にも新型コロナウィルス感染状況が再び悪化し始め、予定していたアーティストの滞在期間を延期して様子を伺ったが、状況は好転することなく、年内の活動を断念することになった。そうした中で、先生方から6年生の授業に下道氏をお招きできないかという提案が舞い 込む。もちろんリモートでの参加ということであったが、下道氏はこれを快く承諾。様々な職業について学ぶキャリア 教育の授業に講師として参加してもらうことになった。とはいえ学校にはまだ外部にアクセスできるWi-Fi環境が整備されていないため、自前のものを準備し、パソコンで教室と直島のアトリエを繋ぐ作戦をとった。 6年生は全部で3学級。1学級ずつ順番に、同様の授業を展開した。直島の風景を見せるところから始まった下道氏の授業は、自身の生活環境、創作環境の紹介、これまでに制作した作品やプロジェクトの話を中心としながら、新川小学校でやってみたいことの解説へとつながっていった。 「北海道にはない環境に住む、遠くの人と繋がるという機会を作りたかった。その実感が持てる機会だった。(教務主任)」「見たことを全て口に出してしまう子ども達に、全て返してくれた。特に芸術家を目指している児童が、その後の授業できちんと自分の考えを出していることが印象的だった。(6年生担任)」
コロナ禍でリモートワークが増えている昨今、世間的にはオンラインでの会議や対話が常態化しているが、学校にはその環境がまだ整備されていない。6年生のほとんどの子が初めての体験とのこと。リモートでの対話というシチュエーション自体も特別な意味を持った可能性はある。普段どのようなことに興味を持っていて、どのように制作をしているのか。同じテーマの作品を何年もかけて作っていること、その為に様々な場所へ旅をして取材や記録をしていること。そうしたアーティストの活動を初めて知った子ども達の驚き は、授業が終わっても質問がとまらず、作品を見た感想や意見もたくさん飛び交かっていたことからも計り知れない。
学校の日常を「みる」
6年生とのリモート授業を終え、首都圏を中心に新たな緊急事態宣言の発令と共に年が明けた。アーティストの滞在期間(小学校での活動期間)を年明けに持ち越した我々にとって、年度内の実施そのものが絶望的となった2月。最終的な決断として、次年度に活動を持ち越す決定をした。 しかしながら、これまでに積み上げてきた関わりの上で何かできることはないだろうか、模索は続いていた。そんな中、下道氏から、リモートで授業を見学できないかという提案がなされた。学校の日常を知りたい、普段の子ども達がどのような活動をしているのか見てみたいという。こうして学校に相談した結果、今年度最後の取り組みとして6年生、4年生の授業にお邪魔し、リモートでの授業見学が実現する。 見学の方法は、6年生の授業同様に、パソコンを教室に持ち 込み、自前のWi-Fiで画面越しに見学するというもの。特に会話するわけでも、質問するわけでもなく、純粋に、「みる」だけの見学である。にもかかわらず、子ども達や先生方の様子は普段とは少し違ったという。
「積極的にコミュニケーションを図っていきたいと思っていたので、授業の見学はウェルカムだった。次年度はもっと多くの学年と関わってほしい!(6年生担任)」
「外部の見方が入ってくることで、予定調和にならない、想像のつかない新しい発見につながことを実感した。(6年生担任)」
見学に伺った先生方からのリアクションは、それまでの活動の成果もあってか一様にポジティブなものであった。学校の内側の世界と外側の世界の境界線を横断するアーティス トの存在がもたらす影響について、それぞれにポジティブな発見があったのかもしれない。
「コロナ禍でできないことがたくさんあったが、身近にいない存在、教職員では呼ぶことができない存在との一生に一度の出会いだと実感した。ゴールが見えているものと違う考え方、やりながら作り出していく方法論は、背景を知ることの大切さや直接関わることの重要性を感じさせられた。(教頭)」
「芸術に触れる機会が少ない、接点を持ちづらい芸術家という存在に対して、今回は『下道さんってどんな人だろう?』 『下道さんのアートって何だろう?』と、関わったそれぞれが考えていた。視覚的なことを重視する学校教育の現状において今回の取り組みは、難しい部分もあった。しかしながら、関わる入り口はそれぞれにあって、長いスパンのなかでどこからでも出入りができる取り組みは価値があると感じた。(校長)」 こうした振り返りの中で、私たちにも発見があった。直接的な対話や交流が限りなく制限された今回の活動の中で も、まだ見ぬ(出会えぬ)存在に対して思いを馳せ、想像する時間が、関わる人たちの知的好奇心や創造力を大きく刺激する。そして、アーティストが、その場所、その時間に存在していることを意識するだけでも、日常の景色が変わっていく可能性があるということだ。このことは、奇しくもコロナ禍で試行錯誤した取り組みの中でこそ見出せた成果であった。さて、一方で下道氏が、画面越しに見た学校はどのようなものだったのだろうか。遠く離れた直島で、まだ見ぬ学校の日常を想像する時間が、次年度新川小学校で取り組むであろう活動にポジティブな影響をもたらすことを願っている。 コーディネーター 漆 崇博参考:2020年度おとどけアート「札幌市立新川小学校 × 下道基行」
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【おとどけアート 札幌市立西岡南小学校 × 小林大賀】活動を振り返って2/2
http://inschool.exblog.jp/241013511/
2021-06-04T17:01:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-06-04T17:01:50+09:00
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おとどけ/西岡南/小林大賀
活動の後半は「もう会えないのまつり」というまつりを企画し、それに向けたものになりました。「もう会えないひと」をイ メージしながら服を作ったり楽器を作ったり、誰もいない客席に向かってみんなで踊ったり。 ネガティブなものを創作に変換していくという過程を学校という場所でどうできるか、ということを模索してこのようなかたちになりましたが、やってみると「もう会えないひと」を思い浮かべるなんてどうでもよくて、ただ好きな服を作っておしゃれがしたい、という子もたくさんいて、逆に「ああ、まつりってそういうものだよな」と思わされることに。
私の通った小学校には特別支援学級はありませんでしたが、西岡南小学校にはあり、後半はその「ひまわり学級」の隣 の教室が活動場所となりました。ひまわり学級の子に特に感じたのは「カタチにする力がとても強い」ということ。服を作 るにしても、さっきアイディアスケッチをしていたかと思ったら、もう「できました!」と服が完成していたり、カービィのようなキャラクターをフェルトで作り込んだり。服は作らなかったけど、紙で精巧なスーパーカーを作っている子なんかもいて、 驚かされます。それも、写真を見ながらではなく、一回見たら細かいところまで覚えてしまうと聞き、二度驚く。まつりの日に一番元気よく、教えてもいない振り付けを編み出して踊っていたのも彼らでした。 まつりを企画しながら、同時にカメラも回し、ドキュメント的な映像を最後に見てもらいました。編集でカットを眺めていて、音に合わせて拍子をとったりバンザイしている彼らの手のシルエットが印象的でした。なんというかそれは「何も持っていない手」で、とてもしなやかで、骨や関節なんてないみたいに見える。確かに関節に痛みなんか感じないだろうから、 そんなもの彼らには存在していないのかもしれない。「何かを持つこと」「持ち続けること」にエネルギーのほとんどを費やし、疲れていくことに、そのしなやかさを見せつけられているような気持ちになりました。
1,2年生の子は、音楽をかけたらもうその瞬間に体が勝手にリズムに乗ってたりして、まるで風に揺れる草花のようで愛らしかった。6年生なんかになると「まわりからどう見られるかわからないから(つまり恥ずかしいから)踊るのは絶対無理」と言ったりする。俗に「しっかりしていく」という言い方もするだろうけど、このようにして人間が固まっていくのだな、という寂しさも無きにしもあらず。6歳から12歳までの子達を一度に眺めることで自意識の芽生える過程が見えるのは面白いものでした。
おとどけアートの活動では、常にコーディネーターの杉本くんがサポートをしてくれ、現場での調整役を担ってくれるので、こういうアイディアを試してみたい、となると、まずは彼に相談する。そこで「学校に聞いてみます」という次なる相談ステップが訪れる。つまり何をするにもたいがいは相談と許可が二重に必要ということで、当たり前は当たり前なのだけど、普段の制作は主に自宅で、「アタマに浮かんだものをどうやってかたちにするか」 と手元に集中している自分にとっては、これはなかなかもどかしいものでもありました。小学校は思い出の中では日常的な場所のように感じたりもしますが、それはある「施設」だったのであり、制度の中にいるのだ、管理の場なのだ、ということを34歳の転校生は強く感じました。同時に、保護されるということと管理されるということの切っても切れない関係などなど考えていると、宮崎駿監督のインタビューでのこんなやりとりが思い出されました。「どうして作品中の主人公たちは親のない子ばかりなんですか?」「だって、親がいたら冒険できないじゃない!」
西岡南小学校は校区で言えば私の母校の隣にあたり、自宅からの道すがらに、かつては実家で今は建てかわった誰かの家が見えたりもする、目に入る風景から自然と自分の子供時代が再生されていくような地理的条件にありました。 様々な記憶の中でも特に、私が小学校に入学するとき父親が「大賀、学校というのは、行きたくなかったら行かなくてもいいところなんだぞ」と突然に真面目な顔で言ったこと。これに関しては、やはり今回いろいろ考えさせられました。まるで何十年も埋まっていた地雷のような言葉で、「教育の権利と義務」や、制度の中の人間、あるいは集団(社会)と個ということに関して、議題が次々と湧いてきました。今、その言葉の真意を確かめる手段が無いこともあり、漠然と、これからも付き合い続けることであると感じています。今回の活動はそんなトリガーのようなものでもありました。 今日の先生方の忙しさは噂に違わぬもののようでした。実際、活動を通じて、担任をもつ先生がたと話をする機会をほとんど持てなかった。自分が子供時代に大人を見ていた目線はおぼろげですが、しかしどう考えてもこんなに汲々とはしていなかったと思われたし、教頭先生と現場のあれこれといった話題に触れても、この余裕の無さに話が行き着くことが多かった。そして話している側から全校生徒分のタブレット端末600台が運び込まれ、空き教室を埋めていく。その様は、 ひとつの象徴のように感じられました。「学校の余白」がおとどけアートという事業のひとつのテーマですが、学校は社会の原点、縮図でもあるわけで、自分がこの埋められていく余白、遊びのなさへのワクチン、つまりウィルスであれたかどうか、あれるかどうか、という問いは当分の間(ひょっとすると死ぬまで)続きそうに思います。
今回、3週間を超える長期間の活動をさせてもらい、最後までサポートしてくれたコーディネーター、スタッフの方々、協力していただいた先生方、そして活動に取り組み盛り上げてくれた子たちに感謝いたします。
小林 大賀 / Taiga kobayashi (作家) 1986年生まれ。札幌在住。札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン学科卒業。2008年、卒業制作の舞台「聖ペテロ神輿さまご奉納のための祭典」を皮切りに、札幌と東京で数々のグループ/ソロでのパフォーマン スを展開する。2012年にはBADO!の奨学金を得てアメリカ、スペインを旅しながらグラフィック作品の制作も行う。2009年に個展(札幌、レトロスペース坂)、2014年の親子展「Mi Familia」(札幌、OYOYO)など展示のほか、近年は「風の回廊」(オーストリア Film of Nations公式出品)、「骨」(中原中也生誕祭)、「yukue」「今日の天使」「雷鳴」ほか(EU Japan Fest 配信プログラム Keep Going TOGETHER)など、数多くの映像作品を発表している。https://www.taigakobayashi.com/
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【おとどけアート 札幌市立西岡南小学校 × 小林大賀】活動を振り返って1/2
http://inschool.exblog.jp/241013500/
2021-06-04T16:53:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-06-04T16:53:34+09:00
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おとどけ/西岡南/小林大賀
その一方でアーティストはというと、様々なことを行いながら学校での日々を過ごすなかで、学校教育の変遷や、子ども達を取り巻く環境について気になった要素を先生に尋ねたり、教科書や資料を読んだりして、自分は何をすべきなのか、何ができうるのか手探りを続けていた。 そうした状況から、前半の活動期間は、ひたすら子ども達はもちろん教職員の方々にアーティストのことを知ってもらうためであり、ようやくここから何ができるのか、という素地作りをしてきたように思う。当初は状況次第で12月中でもって活動が終わりとなることも想定しながらのスタートであったことから、改めて学校と協議し、冬休み以降も継続して活動を行えることになった。 冬休みが明ける直前、今後の活動についてアーティストから映像作品を作りたいという打診があった。それは、これまでの活動の中で見たこと、考えてきたことを子ども達に投げかけ、自分自身のやっていることが自分にとって良いことなのかどうか確かめる試みでもあるという。具体的には、とある“祭”を2月5日の活動最終日に開催することとし、その祭自体はもちろんのこと、祭に向け必要なものは何かを子ども達と一緒に考えたり、何かを作る様子も含めて映像で撮影していき、それらを最終的に映像作品化するというものだ。 祭自体、様々な意味合いで行われている儀式であり、例えば神仏や祖先をまつるためでもあり、何らかの記念を祝ったりするためでもある。そこで、今回アーティストが考える祭がどのようなものであるのかを子ども達に伝えるために、冬休みが明けて数日がたってから「もう会えないのまつり」という名前がつけられた。この”もう会えない”という言葉は、私たちが活動している場所に通うように来ていたとある子どもが、アーティストと話した何気ない会話で出てきた言葉だった。その言葉に帯びているニュアンスが、学校にいる1年生から6年生まで幅広い発達段階にある子ども達に対して、アーティストが考える際のイメージ を伝えるために有効ではないかと考え引用した。かくして、活動の後半は 「もう会えないのまつり」に向けて日々奮闘するものとなっていった。 そうして迎えた冬休み明けは、新たに空き教室を活動場所として使わせていただけることとなった。新しい場所でこれからの準備と進めている中で改めて登校すると子ども達の様子に少し変化が見受けられた。 私やアーティストと廊下などですれ違うときの挨拶の際に、活動当初はその場に立ち止まってお辞儀をしていたのが、そういった姿が見られなくなったことだ。これは、ただ礼儀を欠いている行為なのではなく、子ども達の私たちへの認識が変わった現れであり、お互いの“距離”が近づいたような印象だった。 冬休み前の活動を”素地作り”と捉えていたことも相まって私にはこの雰囲気の変化が活動の一つの分岐点だったように思えた。さて、改めて“まつり”に向けての活動だが、当日に着る衣装作り、それも一体どういったものがふさわしいのかを子ども一人一人が考え、デザイン案を絵に起こすところから始まる。「もう会えない」という言葉からどういったイメージを持ったのか、特定の誰かを思い描いたのか、アーティストの問いかけを頼りに子ども達が考え、描く。絵が出来たという子どもには、一人一人にアーティストがインタビューを行った。インタビューで子どもが話す内容は、大人でもハッとするような捉え方をしていることもあ り、同じ学年の子同士だったとしても一人一人のバックグラウンドや経験値の差があることを改めて感じた。この一連の流れでは、衣装を作る行為よりもどちらかといえば「もう会えない」について、どのように考えているのかを話し、対話してみることに重きを置いていた。しかしながら、一人一人の話を時間をかけて丹念に聞いていくには、当たり前だがアー ティストの体は一つしかなく、たくさんの子どもが活動に興味を持って関わってくれることは嬉しい反面、きっとやきもきしていたことだろうと思う。そうして、新たに活動場所として与えられたかつて空き教室だった場所は、 様々な学年の子どもが休み時間になる度にやってくる場所となり、衣装のほか、”まつり”当日に使う楽器作りや、"まつり”の開催を告知するポスター作りといった日々が続いた。また、それと同時並行して高学年の子どもには ICレコーダーを渡してインタビュアーとして「あなたにとってもう会えない人はいるか」「それはどういった人か」「もし会えたら何をしたいか」といった質問を色々な人に聞いてきてもらうことを依頼し、私たちは実際にインタビューを受けた子どものことは知らないながらも、戻ってきたICレコーダーの音声から様々な捉え方をしている子どもがこの学校にいることを観測した。 そして当日を迎えた「もう会えないのまつり」の開催日。体育館の機材倉庫にひっそりと眠っていたスモークマシンを使って体育館に幻想的な空間を作り、アーティストの知り合いのピアニストとシンガーの方の音楽に合わせて、アーティストと子ども達がそれぞれの「もう会えない人」を想いながら踊ったのである。そして後日、映像作品として準備の様子や、学校での日常の風景まとめたものを改めて給食時間にお披露目した。「もう会えない」という言葉自体は、 人によって悲しさや寂しさを彷彿とさせる言葉かもしれないが、この活動を通して、「もう会えない」ならばその先はどうするのか、と前へと向かう意思のような、アーティストからのメッセージを子ども達は受け取ったのではないだろうか。
この度、巷でソーシャルディスタンスが叫ばれるなか行われた西岡南小学校でのおとどけアートを振り返って、アーティストが掲げた「もう会えない」というキーワードもあり、私自身「距離」について考えさせられる機会となった。2020年の春先の段階では、そもそもおとどけアートというアー ティストと子どもが交流をするような事業自体を実施することができるのかどうかさえ見当もつかなかったし、実際に出会うことができるかすら活動が始まる直前まで予想がつかない状況であった。そういった状況で12月から活動が始まり、前半は映像作品を介してやビデオレターといったリモートでの交流を織り交ぜ、近くにいながらも「距離」を保った活動が展開された。それが活動の後半では一転し、「もう会えない」をキーワードに創作活動や対話を試み、目にも見えない「距離」にある人やことを「もう会えない」からこそ想い描けることを一人一人が見つめ直し再認識させてくれるような取り組みであったように思う。今ではすっかり、道ゆく人ほぼ全ての人がマスクをしていることが日常となったが、いつも会っているはずの人がふとマスクを外したときに、この人はこんな顔だっただろうか、という感覚を経験した人もいることだろう。しかし、逆に会えなくなってしまった人の顔は覚えているといった不思議な感覚にも似ている。つまるところ、今回の小林さんによる活動は、この「距離」があったからこそできた内容であり、今この時以上に意味があるタイミングはなかっただろう。なにより「距離」をチャンスとしてこれからの可能性を見出してくれた、私はそう考えている。 改めて、2ヶ月以上にわたり真摯に取り組んでくださったアーティストの小林大賀さんと、活動を受け入れてくださった西岡南小学校のみなさん、ご協力いただいた全ての方々に感謝いたします。 コーディネーター 杉本 直貴参考:2020年度おとどけアート「札幌市立西岡南小学校 × 小林大賀」
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【おとどけアート 札幌市立新琴似北小学校 × 風間天心】活動を振り返って2/2
http://inschool.exblog.jp/241013485/
2021-06-04T16:44:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-06-04T16:44:32+09:00
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おとどけ/新琴似北/風間天心
コロナ禍のリモート交流
僕がアーティストと僧侶の両方を隔てなく続ける理由は、そのいずれの分野も「人間」と、その「こころ」の奥深くに切り込む姿勢を持ちうるからである。人間という未だ不可解なものに向き合うためには、より多角的な視点が必要なことは疑う余地がない。 「おとどけアート」の活動は2016年に別の小学校で実施しており、今回は2回目の活動になる。前回は、子どもたちが楽しく給食を食べる場で、僧侶が修行中に行う厳粛な食事作法を行った。教育現場でタブー視されている「宗教」を持ち込みたい意思のもと行った活動だが、「多くの人に囲まれているにも関わらず強い孤独を感じること」を実感できた一方、その方法と意義について課題が残った。 2020年度に取り組むことになった「おとどけアート」は、コロナの真只中で実施することになった。社会全体が「新しい生活様式」を掲げる中、小学校での活動もまた、これまでのような親密な触れ合いをすることはできない。一方、僕自身には、コロナの状況を受けて既に始めていたプロジェクトがあった。コロナ禍、そしてその災禍が収束したのちにも影響する一番深刻な問題、「心の衛生管理」をテーマに掲げた「大仏造立プロジェクト」である。疫病蔓延のもとで造立された「奈良の大仏」の歴史を背景に、「大仏」という一つのシンボルを一緒に作りあげることで人々の想いを前向きにさせることを目的にしている。 この「大仏造立プロジェクト」では、全国各地の想いや願い、祈りを集めるため、日本中をまわる「勧進キャラバン」を行うことにした。車に仏像をのせてまわり、それぞれがコロナ禍で感じている不安や希望を「紙」に書いて、それを仏像に貼り付けてもらう。北海道をまわる道中で新琴似北小学校にも訪問し、子どもたちにも同じように祈りを託してもらった。車両自体にも、たくさんの想いを描いてもらい、それらと共に、今も日本中をまわっている。 「勧進キャラバン」でしばらく全国をまわることが決まっていたため、小学校の子どもたちとは「リモート」での交流から始めることにした。コロナを機に急速に進む 「リモート時代」を背景にした今回の活動に、その時代性を反映させながら、子どもたちにもその状況を体感してもらいたいという狙いもあった。隣の市町村へも行けな い状況の中、定期的に全国の風景が届けられる配信を、 子どもたちは楽しみに待ってくれていたようだ。
「宗教」という社会性
2020年度の活動の区切りとして、子どもたちに「一つの体験」をしてもらうことにした。体育館に大きな「人型」 を展示し、そこにはプロジェクターから投射された「大仏の画像」が重ねられている。プロジェクターと人型の間 には大きな透明の風船が置かれ、プロジェクターから発せられた光は一度、その風船を透過したのちに人型に投影される。 この「大きな人型」には、前日に子どもたちに切り取ってもらった「小さな人型」がたくさん貼られており、それぞれに子どもたちの今の「想い」や「願い」が書かれている。これは、「勧進キャラバン」で行ってきた「仏像に想いや願いを貼る」ことの延長である。子どもから出た感想の一つに、「願いごとを考えたら前向きな気持ちになれました。」とあったように、まさに「気持ちを未来へ向かせるためのアクション」として行ってもらった。「大仏造立プロジェクト」で掲げている「精神衛生を保つ」ための行為をこの活動にも含ませた。 コロナ以降、学校の行事は軒並み中止となり、給食中ですらも友達と話すことが許されない。何よりも四六時中、マスクの着用を義務付けられていて、子どもたちの中に無意識にストレスが蓄積しているのは容易に想像できた。大人は自分の都合で適宜マスクを外したりするが、素直にルールを守る子どもたちは絶対にマスクを外さない。つまり、子どもたち自身の意思では、ストレスを解消できないのだ。精神的なストレスは大人だって無自覚に抱え込んでしまう。一寸先も見えないコロナ渦では、積極的にメンタルケアを推進する必要がある。
もう一つ、僕自身が見据えていたのは前回の活動からつながるテーマ、「宗教という社会性」を学校に持ち込むことだった。まず、子どもたちに「小さな人型」を切ってもらう際には、「仏像の形を切り抜こう」とは指示をせず、「友達の座っている姿を切り抜こう」と指示をした。結果的には仏像のようなシルエットになるのだが、切り抜いている当人にとっては人間のシルエットである。仏像をはじめとした宗教における偶像は、結局「人間の形」をしている。宗教性を排除した公共彫刻だって、その多くが 「人間の形」をしている。つまり宗教もアートも、人間賛歌なのである。人類の歴史=宗教の歴史でもあり、多くの問題も孕んできた。その在り方を見つめ直すためにも、 まずそこに触れることから始めなくてはいけない。 そして、この体験を行う日は【12月24日】とした。そのため、大きな人型をみた子どもの中には、それを「クリスマスツリー」と称する子もいたし、もちろん「大仏」と称する子もいた。どちらに喩えたって良いのだが、大切なのは、そのいずれの背景にも歴とした「宗教」が存在していることにある。昨今、取り上げられるLGBTも然り、実社会にはそれらの概念が確実に存在している。子どもたちの中には、その概念によって起こる差別の当事者も存在しているのが事実だ。それにも関わらず、子どもからその 存在を意図的に遠ざける理由はどこにあるのだろうか。 少なくとも僕自身は大学を出るまで、あらゆる差別の根元は「知識と経験の無さ」が原因であることに気づけず、 無意識に差別的な発言をしてしまっていた。 また、ここで用いられている風船は、光(この場合は大仏という情報)を通過させながらも、その中に入ることはできない。つまり、同じ社会に存在し、同じ情報に晒されながらも、外部からは触れることができないビニールハ ウスの内部のような「閉鎖された学校」の隠喩である。ビニールハウスの中にある野菜たちはすくすくと育つが、 その空間は温度管理され風雨の影響も受けない。培養された野菜たちはハウスを出たあとの食卓がゴールとなるが、子どもたちは、そうはいかない。むしろハウスを出た後に多様な人生が待っている。突然、温度変化が激しく、多くの害虫や細菌に晒された野菜は、その環境下で「生きる力」を持ち得ているだろうか。 この風船を登場させた理由は、今後の活動へ向けた導 線としても機能している。
閉鎖性を強めてきた「学校」と「お寺」
これまでの流れを踏まえた上で、今後も引き続き小学校との関係性を続けることにしている。次に掲げるテー マは、「免疫」。この「免疫」という言葉もまた感染症と切り離せないものだが、僕が注目するのは、やはり「心の免疫力」である。 札幌で最初に非常事態宣言が出た2020年2月、息子と一緒に公園へ遊びにいく機会が急に増えた。みんな行楽地には出かけられないため、公園はいつも以上に多くの親子連れで賑わっている。屋外ではあるけれど、 なかなかの人口密度だ。一方、帰り道に覗いた小学校の校庭には誰ひとり遊んでいない。学校の入り口にはカラーコーンが置かれ、「関係者以外立入禁止」の張り紙が貼ってある。「こんなにも広大な子ども向けの敷地があるのに、こんな時に開放できないのはなぜだろう?」 という疑問が生まれた。 近年に起こった様々な事件によって、学校はどんどん閉鎖性を強めてきた。一方、いまの教育現場で求められているのは「地域社会との連携」であり、学校を囲むコミュニティ全体で子どもたちを見守る必要性が高まっている。しかし、実際に学校内部へのパスポートを持ってい るのは、教員、用務員、給食業者、そして保護者のみであ る。この無菌空間で育った子どもは、本当に社会に適応できるだろうか。もっと実社会に対しての「免疫力」を高める場にならなくてはいけない。もちろん、そこには多くのリスクが伴うが、その「リスクに適応すること」こそが、 まさに「免疫力」である。 実はお寺が抱える問題もまた、その「閉鎖性」にある。 近代以前の日本では、お寺や神社は地域コミュニティのハブ機能を担っていた。そのある種の公共空間が、いつの間にか所有物に変化していったのだ。「勧進キャラバ ン」で日本各地のお寺をまわる中、この閉鎖性がコロナ禍で極限に達していることを目の当たりにした。 今後も学校とお寺を行き来しながら、その二つがどのようにして「こころの『衛生』と『免疫』」に対して取り組むべきかを問うていきたい。
風間 天心/Tengshing Kazama (美術家、僧侶) 美術家、僧侶。1979年、北海道東川町生まれ。2008年、 武蔵野美術大学油絵コース大学院を修了。2010年、大本山永平寺での修行を終え、武蔵野美術大学パリ賞によりパリ市「Cité Internationale des Arts」に滞在。宗教と芸術の相互作用を求め、国内外で多様な活動を続 けている。主な受賞歴として、「第5回 札幌500m美術館賞」グランプリ。「Tokyo Midtown Award 2015」優秀賞。2006年、第22回岡本太郎現代芸術賞」岡本敏子賞。 http://www.tengshing-k.com【大仏造立プロジェクト】 https://bigbuddha.jp/
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【おとどけアート 札幌市立新琴似北小学校 × 風間天心】活動を振り返って1/2
http://inschool.exblog.jp/241013476/
2021-06-04T16:37:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-06-04T16:37:55+09:00
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おとどけ/新琴似北/風間天心
コロナ禍における「おとどけアート」実施までの経緯
新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大によって幕を開けた2020年。新年度を迎えた4月初旬、道の緊急事態宣言のもと市内の小学校は開校まもなく臨時休校となった。それから約二か月後の6月にやっと学校が再開するのだが、こんな状況下で「おとどけアート」が実施できるのかどうか、全く予想もつかない状態だった。それから7月~8月にかけ道内の感染状況が一旦落ち着いたことから、改めて実施予定校の新琴似北小学校、新川小学校、西岡南小学校と連絡を取り合った。休校によるカリキュラムの変更や中止を余儀なくされ、感染拡大の状況もいつまた悪化するのかも予想できない中で、果たしてこれまで通りのおとどけアートができるのだろうか?今年度の実施見送りも十分にありうると思っていた電話口で、耳にしたのは3校ともに「実施」という判断だった。もちろん、感染状況を考慮してではあるが、どの学校でも「子ども達のために何かしてあげたい」とのことだった。これまでも同じような意見を耳にしてきたのだが、「こんな時だからこそ」という枕詞が、各学校のおとどけアートに対する期待や願い、なにより子ども達を思う教育現場の切実さを感じさせてくれた。 既に小学校では臨時休校時から環境整備を急ピッチで進めており、現状で可能な限りの感染対策を施していた。こうした状況下で、おとどけアートのアーティストとコーディネーターがどの様に小学校に関わることができるのか?という大きな課題に向き合うこととなった。
新琴似北小学校での実施について これまでのおとどけアートであれば、アーティストが小学校に転校生としてやってきて、校内の一画に突如アーティストのアトリエのような場が生まれ、そこを中心に創作活動を通じた交流が始まる、という流れであった。しかしながらコロナ禍においては、人と人との関わり合いが感染拡大のリスクとなりうる。国が定める「新しい生活様式」を念頭に、どのように活動を始めるべきなのか、どのような関わり方をすべきなのかと頭を悩ませた。 ヒントになったのは今回のアーティストである風間天心さんの活動だった。かつて天然痘が大流行し社会が混乱した際に、奈良の大仏が人々の精神的な拠り所になったように、アーティストであり僧侶という立場の風間さんと複数のアー ティスト達が、世の中の安寧を願って大仏の造立を目指す「コロナ大仏造立」というプロジェクトを始めていた。プロジェクトの第一段階として、「勧進キャラバン」という活動が、8月末の関西を皮切りに始まろうとしていた。風間さん自身が手彫りした木の大仏を車両に乗せて全国各地を周り、コロナ禍によって損害を受けた人々に、その想いを書いた紙や中止になったイベント等のチラシを仏像に張り付けてもらい厄災を浄化するというものだった。 おとどけアートは子ども達がアーティストに出会い、「世の中にはこんな人もいるんだな」と体感してもらうことに意義がある。アーティストという人を通じて、芸術文化という別な世界に触れるという事だ。それであれば「今できることは何か」 という問いの答えは、まずは「アーティスト風間天心」の紹介をする、ということだった。 活動初日となる8月19日(水)、アーティスト不在のまま小学校に赴いた。 小学校では既に体育館に集合しての全校朝会から、密を回避するテレビ朝会という方法がとられていたこともあって、転校(予定)の挨拶として風間さんの自己紹介動画を放送した。そして校内にある防風林の部屋という郷土資料室の一画を間借りし、風間天心のアトリエとなる「防風林の部屋」を 作り出した。(お坊さんの風間さんとコーディネーターの小林のいる部屋) そこでは風間さんのメッセージ動画を放送したり、ガラスケース内に様々な作品を展示した。また、巣箱を利用して作った天心BOXという手紙入れも設置した。手紙という媒体によって、子ども達は風間さんに様々な質問を投げかけることができ、風間さんもそれに応えることで遠距離ながらも交流が始まった。そして、そのやりとりを新聞形式でまとめたり(天新聞)、コー ディネーターが学校を訪れた際に起きた事柄をマンガ形式で記録(カザマ ンガ)したものを壁に貼り出したり、冊子にして配布した。これによって、その場に居合わせなかった子どもや先生、学校を訪れる保護者の方々にも活動を発信することができた。活動当初はアーティストがおらずコーディ ネーター1人が小学校にやってきて何ができるのか?という不安があった が、毎週1回通い続けているとそういった不安も薄れ、いつの間にか小学校の日常の一部として子どもや先生達もこの活動を受け入れてくれるように感じた。
風間さんが小学校に最初に訪れたのは9月19日(土)、5年生の宿泊学習での一コマだった。本来であれば宿泊施設で実施されるはずだったが、コ ロナ禍を受けての小学校内での活動となり、2日目午前中に風間さんとの交流がセッティングされることとなった。体育館での活動ということもあり、 ゆとりを持って作品紹介やワークショップを行うことができた。やっと子ども達と会うことができたという達成感に似た安心感を抱いた。そして風間さんが小学校に通い始めたのは10月22日(木)だった。コーディネーターが通い始めてちょうど10回目となるこの日、風間さんを迎え入れる子ども達の反応はこれまでにないほど大いに盛り上がった。8月から毎週のように風間さんの映像を見たり、手紙を書いたり、マンガや新聞を読んだ子ども達にとって、風間さんはTVタレントのような人気者になっており、実際に会えた事の喜びやテレビ画面で見ていた人が実物として表れた!という驚きが混ざったような反応だった。 そこから10日間ほど小学校に訪れ、休み時間や給食時間の放送を中心に交流が行われ、12月23日(水)には全校生徒を対象にしたワークショップ、 24日(木)には作品鑑賞ツアーが実施された。ゆるやかに始まった活動ではあったが、結果的には様々な形で子ども達と風間さんが触れ合う機会が生まれていた。 ある日を境に、世界が一変してしまった2020年。誰もが先行きの見えない未来に不安を感じながら日々を過ごしてきた。おとどけアート実行委員会の事務局、現場コーディネーターとして、芸術文化は今何ができるのか? どうするべきなのか、を常に問い続けた1年となった。8月から始まったおとどけアートは、アーティスト自身の活動をきっかけに少しずつではあるが小学校に広がり、子ども達の心に残るような活動になったのではないかと思う。また、定期的に小学校に通い続け、安全管理を含めて連絡を取り合うことで、教職員の先生方とも良好な関係性を育むことができた。コロナ禍に限らず、先生方との信頼関係を地道に築いていくことが、この活動の継続や発展に続いてゆくのだと身をもって感じた。 今年度、長期に渡って共に活動を続けてくれたアーティストの風間さん、多忙な中活動を受け入れご協力いただいた新琴似北小学校の教職員のみなさまに、そして一緒に活動を楽しんでくれた子ども達に、心から感謝しております。
コーディネーター 小林 亮太郎
参考:2020年度 おとどけアート「新琴似北小学校 × 風間天心」2014年度 おとどけアート「北陽小学校 × 風間天心」]]>
【おとどけアート 小林大賀 × 西岡南小学校】2/5<23>
http://inschool.exblog.jp/241013452/
2021-06-04T16:17:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-06-04T16:17:08+09:00
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おとどけ/西岡南/小林大賀
2月5日(金)。
年を跨ぐ前の12月初旬から行ってきた活動ですが、
いよいよ、この日で一旦の区切りを迎えることになりました。
そして、冬休み明けに小林さんが企画し、
昨日まで準備を進めてきた「もう会えないのまつり」の開催日となります。
実施するのは中休みだったのですが、
本来であれば直前も体育の授業が行われる予定だったところ、
学校側の調整でその時間を譲っていただけることに!
準備が間に合うが心配だったので、とてもありがたかったです。
早速、その時間を使って、
大賀さんは助っ人としてきてくれたお知り合いの映像カメラマンと
流れの確認や、カメラ位置のセッティング作業を行います。
同じく、まつりに使う音楽の演奏のために駆けつけてくれた
大賀さんのお知り合いのシンガー、ピアノ奏者の方々も到着し、
リハを行いました。
機材庫から発掘したスモークマシンも絶賛稼働中です。
うーーーん、なかなかな雰囲気ですね!
中休みまでにある程度体育館の中に広げておきたいので、
スモークマシンには頑張ってもらいたいところです。
そうしていよいよ、中休みが始まります。そわそわ。
大賀さんには体育館でスタンバッてもらい、
私は活動場所だった空き教室で子どもたちに衣装を着させて、
ひたすら体育館へ誘導していきます。
先生方にもお手伝いいただきながら、
ある程度波を終えたところで、体育館へ。
やってますやってます。
あまり聴き慣れないリズムの音楽に体を委ねて、
大賀さんと子どもたちが舞っています。
子どもたちは踊るだけの関わりではなく、
中にはこういったことをしてくれている子もいます。暗いのでちょっと見えにくいのですが、わかりますかね。
なんと右手でインスタントカメラを持って撮影しながら
左手でスポットライトを操っています!!
他にも数人、協力な助っ人がいたこともあって、
安心して全体を見守ることができました。
何が撮れているのかは、現像するまでわかりませんが、
子どもたちが記録したいと思ってシャッターを押した場面とは
どういったものなのか、楽しみです。
(後日現像してみましたが、廊下を移動している様子も記録されていて
なかなか味がある写真ばかりでしたよ!)
演奏2周目の終わりに差し掛かったところで、
チャイムが鳴り、おまつりは終了。
子どもたちに着ていた服を畳んで用意した箱に納めていく
シーンを撮影して、ようやくひと段落!!
その後は、余韻に浸りながら撤収作業をして給食時間。
私たちはお昼の放送でお別れの挨拶をさせていただきました。
これは「もう会えない」お別れではないはず。
お昼休み、後片付けをしていると、
お隣のひまわり学級の子どもたちが、
大賀さんにお礼を伝えに来てくれました。中には泣いている子もいて、実は大賀さんももらい泣きしそうだったとか。
思えば、体育館前の廊下もこの空き教室でも
ずっとお隣さんだった子たちですからね。
足掛け2ヶ月間、お世話になりました。
放課後子どもたちが帰るときも挨拶しに来てくれる子がちらほら。
また来てね!と言ってくれるのは嬉しいですね。
あとは、これまでに撮りためた映像素材を用いて、
映像作品の制作。後日改めてお披露目を行います。
むしろここからが大変な部分でもありますが、
大賀さん、ひとまず冬休み明けの3週間、本当にお疲れ様でした!
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【おとどけアート 小林大賀 × 西岡南小学校】2/4<22>
http://inschool.exblog.jp/240958250/
2021-05-04T16:51:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-05-04T16:51:53+09:00
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おとどけ/西岡南/小林大賀
2月4日(木)。
活動も今日含めて残り2日。
しかし明日は「もう会えないのおまつり」という
映像作品のメイン部分となるシーンとして設定したイベントがあるため、
今日でその準備を終わらせながら、素材となるシーンを撮り溜めしていかなくてはいけません。
まずは中休みの衣装作りチームから。
ペットボトルを使ったマラカスを作りましたよ。
なかなかに良い音がします。
鳴らすと声が通らなくて余計に声を張らなくてはいけなくなったのは誤算でした。笑
明日はこれを持って踊りまくってもらいましょう。
続いてこちらは、残った麻布を使って大賀さんが旗を作っています。
実は、後ろの壁に掲示してあるのは
12月に子どもからプレゼントとしてもらったもの。
これはそのお返しとして、ぜひおまつりに参加して
この旗を振ってもらいたいそう。来てくれたら嬉しいですね。
そして、数日前に高学年に託したICレコーダーが返ってきまして、
中身を確認したところ、何やら大人の声がします。
誰か聞いてみたところ、校長先生とのこと!
インタビューする相手は誰でも良いよとしていましたが、
まさか校長先生にインタビューするとは驚きでした。
ということで校長先生のシーンの撮影。
後ろ向きでさらに逆光気味での撮影ですが、どんな映像になるのでしょうかね。
この日は怒涛のスケジュールだったので次々いきますよ!
こちらは昨日撮影したビデオレターの放送準備。
先生のサポートを受けながら、放送前のアナウンスから
大賀さんが行います。
「テレビの電源をつけてチャンセルを○○番に合わせてください、約1分後に上映します。」
もうすっかり慣れたものですね。
放送をスタートさせるとすぐさま廊下に出て映りの確認。
改めて明日のおまつりについて、衣装づくりやインタビュー、活動を手伝ってくれた人へ呼びかけます。
大賀さんが考える「もう会えない」のイメージも大賀さんの言葉で直接伝えてもらいました。
その上でこの後のお昼休みは、当日の動きの確認なども含めて気になる子どもがいたら聞きに来てね。
という形で締めました。一体どれだけの子どもが来てくれるのか。
そして迎えた昼休み。
もうひたすら踊る練習しかありません。
音楽室から簡単な楽器もお借りしましたよ。
自分の衣装がある子は、明日は中休みになったらすぐに
ここで着替えて体育館へ行くことになるので、
来てすぐ着られるように綺麗に畳んで収納してもらいます。
うん、ちょっと見辛いかな!あとで畳み直しておきましょう。
この後は体育館でできうる限りのセッティングを行い、
明日のおまつりの最終確認を行いました。
大賀さんのお知り合いのシンガーの方や映像カメラマン、
おとどけアートのスタッフなども加わり、
さらに何人か先生にも誘導などご協力いただけることに。ありがたいですね。
取り外されていた暗幕なども付けて、体育館は完全暗転ができる状況になりました。
明日はこれにカラースポットと音楽を背景に大賀さんと子どもたちが踊ります。
一体どんな光景となるのでしょうか。楽しみですね!
コーディネーター 杉本
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【おとどけアート 小林大賀 × 西岡南小学校】2/3<21>
http://inschool.exblog.jp/240955270/
2021-05-02T15:32:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-05-02T15:32:42+09:00
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おとどけ/西岡南/小林大賀
「もう会えないのまつり」まであと2日。
子どもたち描いてくれた衣装デザインの絵を使って
大賀さんが「もう会えないのまつり」の告知物を作りました。
当日はこれらの服を着た子どもたちがまつりで踊ります。
もう会えないのまつりに向けて何が必要かな、と子どもと話しながら
衣装作りの傍らで文字も描いてもらいましたよ。
当日は残念ながらコロナ禍のため、体育館に全校児童が入ることができない制限があり、
学校側との協議の上、当日体育館に入ることができるのは、
衣装づくりやインタビューなどで関わった子のみとすることになりました。
それ以外の子たちについては、後日制作される映像作品の上映でもって
補完するということになりました。
仕方ないとはいえ、なかなか歯痒いものです。
さて、改めて今日は、衣装の完成を目指すのと、おまつりでの踊りの練習をしてみます。
といっても踊りに特に決まった型などはないのですが、
おそらく衣装作りから見ておそらく低学年がメインで参加することになるであろうと想定し、
大まかに2種類の動きだけを予め決めておくことにしました。
本番は大賀さんがその合図を出す、という感じですね。
まだ子どもたちがたくさん来る前にささっと記録の撮影。
(またしてもこの後の嵐のような衣装作りの記録はありません。。。)
そしてここにきて大賀さんが、
当日着る自身の衣装がないことに気づき、あわてて制作!
今回の活動で、大人になってから小学校に通ってみて、
自分が小学生だったときに父から言われていた言葉を
思い出したり、その言葉の意図を咀嚼し直したことから
お父さんをイメージした衣装にしたとのことです。
そのあとは子どもたちへのおまつりのアナウンスをメインとしたビデオレターの撮影を行いました。
数々の映像作品を撮影、編集してきた大賀さんにとって、
ビデオレターは一発撮りで決めてきます。
ビデオレターの内容を話しながら、
ここの部分は後でカットして短くして、、、
とか考えてるんでしょうかね。さすがです。12月から色々やってきたおとどけアートの活動も残すところあと2日となりました。
やらなくちゃいけないことや、やってみないとわからないことも
たくさんありますが、悔いだけは残らないようにしたいですね。
コーディネーター 杉本
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【おとどけアート 小林大賀 × 西岡南小学校】2/2<20>
http://inschool.exblog.jp/240955046/
2021-05-02T12:07:00+09:00
2023-05-31T10:43:46+09:00
2021-05-02T12:07:45+09:00
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おとどけ/西岡南/小林大賀
「もう会えないのまつり」まで残り3日。
中休み・昼休みの長く使える時間は衣装づくりのラストスパートです。
自分の思い描いたイメージを目指してガシガシ進めてもらいます。
ある程度服が出来上がったので帽子を作りたい、という子や、
楽器を作りたい、といった子が出てきたので
できる限りの要望に応えていきながら、
大賀さんは、ひたすらインタビューを録ったり、作業風景を撮影していきます。
まつりが終わってからのインタビューは
楽しかった!というような「まつり」というイベントに対する体験への
リアクションになることが予想されるので、
できる限り一人一人が「もう会えない」をどう受け止めているのか、を聞くには
このタイミングしかないんですよね。
休み時間以外でも給食の準備のわずかな時間を使って、
高学年の子たちにインタビューを進めます。
お互いがどんなことを答えるのか気になるようですが、
録っている間は周りはちゃんと静かにしてくれてるのは、ありがたいですね。
といったことをノルマとしてこなしながら、今日のメインはここから。
「もう会えないのまつり」開催当日の会場の演出、機材のセッティングをしていきますよ。
まずはフットライトを2階の備品庫から運び出し、
どこまで細かくスイッチングできるかの卓のチェック、
当日踊ったりする子どもたちを撮影するために逆光にならないような配置、
スモークマシンの広がりかたや向き、動作間隔や
2階部分からの固定スポットと床置きのスポット、
やることは盛り沢山です。。。
スポットライトの光の当て方でスモークが体育館を漂う雲のように見えますね。
おまつりの機会は1回だけになるので、撮りこぼしがないよう、
綿密に臨みたいところです。
本番まで残り2日。走り続けます。
コーディネーター 杉本
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